【この違いどう教える?】カラオケへ行きます/ カラオケに行きます

助詞

助詞「へ」と「に」の違いって…

カラオケ行きます。 / カラオケ行きます。
この違いって何ですか?

 

「へ」は方向で、「に」は着点を表すんだよ。

少し調べると、答えはこんな感じですぐに出てきます。

「へ」は方角、「に」は点!って感じだよね。

だいたい同じ意味だから、どちらもいいです。OKです。

実際、会話の時って助詞は省略しちゃうこと多いですもんね……。

どちらもOKです!は、本当にOK?

でも待ってください。

それで終われないのが日本語教育ですよね。

だって、問題はその先にある。

この違いを外国人学習者にどう伝えよう?

日本語の勉強を始めたばかりの学習者に、小難しい助詞の用法をそのまま説明することはできません。

日本人であっても、この説明だけでは「カラオケへ行きます」と「カラオケに行きます」の使い分けをはっきりさせろと言われても、パッとは答えられないと思います。

でも、学習者が混乱しないように簡潔に伝えようとすると「だいたい同じ意味だから、どちらもOK」って言いたくなるかも。

でも、日本人は場面によってはどちらか一方は違和感を感じるだろうし、むしろ違和感を感じる前に使い分けています。

きっと学習者が知りたいのは、自然と使い分けているこの日本人の感覚の部分だと思うんですよね。

私も英語を勉強している時はそうだったなあ。

よく似た意味の単語をネイティブみたいに使い分けたい!と思っていたような。

結局はどちらも「目的地」でしょ?

紛らわしいのが、どちらも「目的地」を表すという部分だと思います。

例えば、

アメリカ行く。
アメリカ行く。
移動先はどちらもアメリカでアメリカが目的地です。
では、こちらはどうでしょうか。
(?)アメリカ着く。
   アメリカ着く。
移動動詞を「着く」に変えると、「へ」の方は違和感があります。
「着く」が「に」の着点の用法をわかりやすく表していますね。
ここに違いを見極めるヒントがありそうです。
「に」は、移動の➡が目的地にぴったりとくっついているイメージです。
「に」がついている目的地の方は「ここで終わり!」感があります。
「椅子に座る」なども着点を表すわかりやすい例ですね。
そして問題はこの先。違いをどうわかりやすく伝えるかです。

違いを教えるには

ねーねー、カラオケ、一緒に行かない?

カラオケ行きませんか。
カラオケ行きませんか。

私の場合ですが、例えば友達を誘う時に「カラオケ『へ』行きませんか。」の方は少し違和感があります。

なぜか。イメージしてみます。

カラオケ行きませんか。【 人 ➡   建物 】イメージ

 

カラオケ行きませんか。【 人 ➡(建物+内容) 】イメージ

移動の矢印の先端は、目的地にしっかりはっきりと届いている。

 

誘う相手に伝えたいのはどちらの「カラオケ」か。

私が伝えたかったのは、「カラオケ行きませんか」の方です。

歌いたくて歌いたくてたまらないんだから!

というように、話し手は自分の伝えたい方をきちんと選んでいるのではないかと思います。

ボヤキ:「カラオケに行く」って、「遊びに行く」と同じじゃないの?

「カラオケに行く」の「に」って、「遊びに行く」と同じで「目的」の用法じゃないの?
そうそう、数ある助詞「に」の用法の中には「目的」の用法があります。
「子どもを迎え行く」もそうですね。「行く」目的が「子どものお迎え」です。
これ、結構悩みます。
そもそも、「カラオケ」って場所なのか?という話です。
でも、「今、カラオケいるよー」と言った場合の「カラオケ」は場所ですよね。(ちなみに、この「に」は存在場所を表す「に」です。)

場所(着点)としての「カラオケ」があり、事柄(目的)としての「カラオケ」もある。ということですね。

だから、「カラオケに行きます」は「カラオケへ行きます」よりその内容が含まれたイメージが強くなるのかもしれません。

それで言うと、「トイレへ行きます」と「トイレに行きます」も同じ感覚かも!

Special Thanks

今回のテーマ「カラオケへ行きます / カラオケに行きます」ですが、

感覚的にどんな違いがあると思うか、私の身近な日本人のサクラさんに(普段、日本語教育等に携わっていない日本語母語話者です。)に聞いてみました。

その回答は……

「へ」はなんか、カラオケが薄い!ぼやける!

「に」の方が濃い感じがする。

でした。とても参考になります!サクラさん、ありがとうございました。

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