「を」がつけば他動詞?

他動詞と自動詞っていつもどう見分けていますか?

確か、他動詞は人が何かをすることを示します。
目的語を取るので助詞「を」がつきます。

はい!
「(人が)ドアを開ける」「(人が)電気を消す」が他動詞です。

そうですね。じゃあ「空を飛ぶ」は他動詞ですか?

ん?
「飛ぶ」は飛行機とか…?人が関わらないから自動詞じゃない?
でも「を」があるなあ。やっぱ他動詞かな。

じゃあ「家を出る」は?

人の話だし、「を」だし、これは他動詞です!

待って待って。他動詞は「出す」でしょ?
「出す」「出る」で他動詞自動詞のペアだったはず!

答えは、「空を飛ぶ」も「家を出る」も自動詞です。

えー!
「を」がつけば他動詞って言ったじゃないですか!

「例外」って言葉は聞きたくありません。
「を」で見分けた時の落とし穴
動詞の勉強で「他動詞・自動詞」使い分けが出てくると、何だか急に奥が深くなったように感じる日本語。
「他動詞」「自動詞」という小難しい表現が、よりその複雑さを助長しているような気もします。

じゃあもう、そんな名前で分けなくてもただの「動詞」でいいじゃないですか。
✓他動詞につく時の「を」は「対象」の用法です。

つまり、例外。

でもね、これは結局「助詞」の話。
私は「動詞」からその違いを考えた方がわかりやすいと思うんですよね。
自他ペアを思い出して
他動詞自動詞の勉強をする時に、はじめにペアになる言葉を覚えると思います。

はい。
他動詞自動詞の基本だと思って覚えました。
複雑な説明をされるより、覚えればいいのでまだ楽な方です。
(~を)開ける (~が)開く
(~を)閉める (~が)閉まる
(~を)消す (~が)消える
(~を)出す (~が)出る
(~を)入れる (~が)入る

でも、ただ覚えただけです。
ここでは他動詞は「を」だし、自動詞は「が」です。
例外に対応していない気がするし、よくわからないまま丸暗記です。

とても大事な基本だと思います。
そして、他動詞自動詞の全てがここに詰まっていると言っても過言ではありません。
原因と結果に注目する
上記の他動詞と自動詞のペアを見た時、これらには原因と結果の関係があります。

他動詞は原因、自動詞は結果を表します。
つまり、対象(物)に対する人の意志的な働きかけとそれによって生じた変化の結果を表します。
(人がドアを)開けた。【他・働きかけ】
だから
(ドアが)開いた。【自・変化の結果】
というわけです。

他動詞から始まり、その次に自動詞が来るんです。
つまり、他動詞は、対象(物)に対する人の働きかけだけに注目した表現であり、自動詞は、結果だけに注目した表現である、というわけです。

でも、これってペアがあった場合にうまく説明できるだけの話でしょ?
他動詞しかないもの、自動詞しかないものってあるよね。
確かにそうです。
そして、そこが迷いの種になっていると思います。
物事にはたいてい原因と結果があるもの
でも、その動詞が「原因を表すものか、結果を表すものか」という見極めはそう難しくありません。

「食べる」はどちらだと思いますか。

「魚を食べます」って人の意志的な働きかけですよね。
もちろん他動詞です。

そうですね。そして、他動詞「食べる」にはペアとなる自動詞はありません。
では、「咲く」はどうですか。

「花が咲く」ってもうそれが結果よね。
それに、ここには人による物への働きかけはないと思うから「咲く」は自動詞です!自然現象だし。

そうですね。そして、自動詞「咲く」にはペアとなる他動詞はありません。
食べる ✖
✖ 咲く

うーん。
ペアとなるものがないなら、何でも原因‐結果で結び付けられるわけじゃないのね。

でも、物事には原因と結果があると思いませんか。
どちらしかない、というのはあり得るのでしょうか。
それに物語の中、空想の中など、日常ではあり得ない事でも言葉を使って伝えたい時はいくらでもあります。
他動詞自動詞ペアがないからと言って、それが表現できないわけではないですよね。
ペアがない時は、受身と使役を頼る
じゃあどうするか。
代わりのものを使えばいいのです。
それが受身と使役です。
詳細は、自他②受身編と自他③使役編をご覧ください。
見分け方編:まとめ
✓他動詞の「を」は「対象」の用法である。
✓他動詞→原因(対象(物)に対する人の意志的な働きかけ)を表し、それだけに注目した表現。
✓自動詞→結果(変化の結果)を表し、それだけに注目した表現。
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