使役文について
使役形の活用
使役形の動詞の活用についてはこちらの記事をご参照ください。

使役文のつくり

はじめの文を使役文にすると、動詞は使役動詞に変わります。
使役文になると、新たな人物が加わり主語が変わります。
✓動詞➡使役動詞
エマがピーマンを食べます。
【使役文】
母親がエマにピーマンを食べさせます。

使役文では、
主語は指示などをするだけ(使役主=母親)の人で、
実際に食べる人はニ格にあたる人(動作主=エマ)です。
※使役主…使役文においてある行為をさせる人。
※動作主…その行為をする人。
自動詞の使役文について
自動詞の使役文の場合は「二格」ではなく「ヲ格」にあたる人が動作主です。
エマが走ります。
【使役文】
母親がエマを走らせます。
※他動詞・自動詞の見分け方についてはこちらの記事をご参照ください。
「母親が子どもにご飯を食べさせる」の三つの意味
使役表現の意味用法の分類には諸説あるようですが、それは「使役」という言葉の意味をどう捉えるかによって変わってきます。
本記事では、「使役」の基本的な意味を「人が人に何かしらの行為をさせること」、すなわち「使役主が動作主に何か行為をさせること」であり、それはつまり「動作主が自らの意志をもってその行為を行う」ことが動作の実現であるとし、使役の用法を考えていきたいと思います。
ここでは大まかに使役の代表的な用法二つとそこに分類しづらいパターンの一つを
「母親が子どもにご飯を食べさせる」
の例文に沿ってご紹介します。
①許可
使役表現の意味用法の代表格の一つが「許可」です。
これは、「食べたい子ども」に対して「いいよ」と母親が許可を与える表現です。
動作主(子ども)は自分の意志で食べます。
②強制
使役表現の意味用法の代表格のもう一つが「強制」です。
こちらは、「食べたくない子ども」に対して母親が「ダメ。食べなさい」と積極的にその行為を動作主に強いる表現です。
そして、動作主(子ども)は自分の意志で食べることになります。
③他動詞的表現
上記の①「許可」と②「強制」が使役表現の用法説明としては割と代表的ですが、「子どもにご飯を食べさせる」にはこういったパターンも日常ではよく見られます。
このパターンが①許可②強制と大きく違うのは、ここで言う「使役」の意味が強く含まれていないところです。
まず、③の動作主(子ども)は意志を持ってご飯を食べることができません。
つまりこの絵の状況は、動作主(子ども)が使役主(母親)の指示などによって「自分でご飯を口に運んで食べる」わけではなく、代わりに母親が動作の対象である「ご飯」に直接働きかけることによって「子どもがご飯を食べる」という動作が実現しています。

これは使役表現というよりも、人の対象(物)への働きかけ表す他動詞的表現に近いと言えます。

能動文ぽい使役みたいな、使役感のうっすーい使役みたいな。
まるで「母親」が影武者みたいになっているね。

自他④「寝かせる」「寝させる」の違いの記事の中にもあった「その動作を行う人の意志あるかどうか」という点がこの分類にも表れているね。
「花を咲かせる」も他動詞的な表現です。

これは自他③記事であった「他動詞の代わり」ですね!

「咲かせる」「腐らせる」といった無意志動詞が使われる場合の使役文も、他動詞的表現に含みます。

確かに。
例えば、「走りなさい」と指示されて「はい、走りまーす」は言えるけど、「咲きなさい」と指示されて「はい、咲きまーす」とはならないもんね。
でも何らかの働きかけによって「花を咲かせる→花が咲く」ことはできる。
※他動詞については自他①「他動詞自動詞の見分け方について」をご参照ください。
【参考文献はこちら】
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